失業率30%でも毎月小遣い30万を貰って暮らせるサウジアラビアの未来とは

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先日、サウジアラビアのサルマン国王が46年振りに来日しました。

オイルマネーをバックに経済協力を得るのが主な目的ですが、その話題が取り上げられたのはわずかで、ニュースのほとんどが豪華絢爛エスカレーター式タラップだったり、おつきの人が1,500人で高級タクシー500台利用、豪華ホテル丸ごと貸し切りに爆買いといったスポーツ新聞っぽいネタばかりで、ワイドショーや一般紙にまでネタを提供しまくっていました。

 

  

  

しかし、この様なありさまを見て、素直な感想として「果たしてこれが国の将来を不安視して、経済協力を求めてくる国の姿なのかな・・・」と思いました。マヒしてるんでしょうね。お金ってそんなに簡単に稼げるものではありません。使い方がマヒしているのに、まともに額に汗を掻いてお金を稼ぐなんて事が果たして出来るのだろうか、というのが正直な感想です。

 何かに調印すれば、自動的にうまくいってお金が稼げる、という訳ではありません。様々な不測の事態があり、それに対して当事者意識をどこまで持って取り組めるか、最終的に問われるのは物事を完遂しようとする執念であり、執着心です。それは小さい頃からの生活環境、教育がとても大きな影響を与えます。

 エスカレーターを持ってくるコストだけ見ても、ちょっとした中小企業の1プロジェクト並のコストはかかってるでしょう。サウジの若者の失業率は30%近いと言われていますが(正確な統計がない。恐らくまずくて出せないのでしょう)実は若者は誰も困っていません。なぜなら納税義務はほとんど無く、何もかも無料で、補助金も沢山出るからです。デスクワーク以外の仕事を軽視する傾向もあるようです。中にはニートなのに小遣い月30万なんて事もあるようです。こちらは2007年とちょっと古い記事ですが、恐らく内容的には今も通じるように思います。

 

 

結果的にこのような制度が、労働意欲の低い、生産性の低い国民性を助長しているのではないでしょうか。そして恐らくこの事が、サウジアラビアという国の行く末に、決定的に不可逆な暗い陰を落としているように思います。

 サウジが今行うべき事は、先進国からの経済協力というよりは、このようなベーシックな部分、「働く者食うべからず」の徹底です。最初は赤字でもまだ資本があるうちならどうにでもなります。 

しかし、今の政治制度がそれを改善する事は極めて難しいでしょう。王政を維持するためには、石油という「不労所得」で得られた富を、国民から不満が出ないように継続的に再分配しないといけないからです。額に汗を流して働け、と言う事はヘタをすると自分に跳ね返ってきてしまいます。また重大な人権侵害が行われていますが、ヘタに民主化騒動が起きて中東全体が不安定化されては困りますので、アメリカ他先進国はとりあえずこの問題にはほっかむりを決め込んでいます。

 

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出展:日本経済新聞社 記事 日・サウジ、経済協力を深化 企業進出へ特区新設  :日本経済新聞

 

結局日本滞在中に得られた経済協力もほとんどが石油会社サウジアラムコや電力会社など、国営企業とのコラボばかりです。日本側としても、石油以外となるととっかかりがなかなか掴めない、というのが本音でしょう。ここにサイバーダインの名前が出てくること自体が、いかに両国とも手持ちのカードが少ないかという事の証左だと思います。

勿論サウジ王室も何もしていないわけでもなく、ムハンマド副皇太子のような人物が内外政を仕切り出したり、新しい風も起きてはいます。ですが、国民の普段の暮らしが何も変わらなければ、変わるのは相当に難しいはずです。 

長期トレンドで見れば原油の消費量は減るのは間違い無いとは言え、もうしばらくはエネルギーの王様であることに変わりはありません。

 恵まれれ過ぎた地下資源は、国民の自助努力の欠如と怠惰な暮らしを蔓延させ、結局国の発展には百害あって一利無しかと思います。日本には資源がなくて本当によかったです。

と思っていたら、ちょうどこんな記事がありました。

 

  

個人レベルでも、国家レベルでも真の友造りとはなかなか難しいものです。日本がサウジアラビアと今後真の友としてやっていけるのか、政府のビジョンと胆力次第ではないでしょうか。


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