先日、どの新聞か忘れたのですが、コンサドーレの三浦監督の辞任に関するコラムが出ていました。
そこには、三浦監督がチームの戦力不足という苦しい采配事情の中で、一番点のとれる確率の高いセットプレーで確実に点を取る事に勝機を見いだし、そのためにあえてドリブルや守備があまり得意じゃなくても、背の高い選手をフォワードとして起用した。しかし、一長一短であるが故に、パス練習の時に他の選手が「あれ、うちってこんなにヘタだっけ?」と思わずクビをかしげていた、、、うろ覚えですが、大体そんなお話でした。
私はサッカーはなんちゃってファンなので、それほど詳しくはありませんが、サッカーというのは、本当に経営と良く似ているなぁ、と思います。
采配に困るくらい沢山のタレントがいるのは、どこのリーグでも、トップを争うような一部のチームだけです。Jリーグなら浦和、プレミアリーグならマンチェスター・ユナイテッド、リーガ・エスパニョーラならレアル・マドリードと、きら星のように控えにも各国代表選手がてんこ盛りで暇を持てあましています。
ところが、大部分のチームはそうではありません。監督は限られたタマ、人材の中でやりくりをしなければなりません。つまり、監督のやりたいサッカーをするのではなく、現実を見据えて勝てるサッカー、という事をしなくてはなりません。
戦力を無視した現実離れした戦術は意味を成しませんが、現実を見据えた時、台所事業の厳しいチームほど、選手一人一人に求められる役割は重くなるのに対し、他方選手はタマ不足、という矛盾がのしかかってきます。そして勿論結果は全て監督の責任です。
となると、何をするか、ではなく、何をしないか、という事の方がしばしば大事になってきます。どこをあきらめるか、という点をまずきちんと見極める事が必要になります。ところが、これも現実的にはその「見極め」がそもそも難しい。
その点で、三浦監督の「多少プレイが下手でも目をつぶって背の高い選手をフォワードに配置し、セットプレーから勝機を見いだす」というのは、ある意味現実的な正しい選択だったのではないかと思います。
ただ、残念な事に結果が出なかっただけです。選択が正しかったとしても、望む結果が得られるかどうかはまた別問題で、勝負の世界はシビアです。
ビジネスの世界も一緒です。ベンチャー企業ほど一人一人にはより大きな役割が求められますが、他方豊富にタレントがいる訳でもありません。限られた采配条件の中で会社としていかに「結果」を出していくか、それは全て「監督」つまり経営者の責任であり、また腕の見せ所でもあります。ここで言う「結果」、とは、「誰かに勝つ」、のではなく、「顧客のビジネスに貢献する」という事です。
結果が全ての世界ですから、三浦監督の辞任はやむを得ない事だと思います。しかし、J1チーム中最低の予算という厳しい台所事情や、選手層が薄い中、一年でJ1に昇格させた(勿論前任者である柳下監督の功績も大きいと思います)三浦監督は本当によくやった、と私は思っています。言い訳をしない点もリーダーとして実に筋の通った、素晴らしい姿勢だと思います。今頃なんですが、お疲れ様でした。是非また表舞台に戻って来て欲しいですね。ちなみに私は三浦監督のような、ああいう一風変わった経歴の人が結構好きだったりします。
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