「若冲ワンダーランド」に行ってきた-伊藤若冲をめぐる旅(1)

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先週、東京出張だったのですが、その際に珍しく休みを貰いまして(私の場合どこまでが休みで、どこまでが仕事なのか、という境界線がそもそもちょっと曖昧だったりしますが)、京都まで足を伸ばしました。

何かというと、実は昔から伊藤若冲のファンでして、滋賀県のMIHO MUSEUM(ミホ・ミュージアム)で「若冲ワンダーランド」展があると聞いていたからです。年内に終わる予定だったので、何とか一度行きたいと思っていまして、今回出張ついでに何とか(無理矢理に)立ち寄ることが出来ました。

下の絵は、象がモチーフなのですが、これを見ると、まるでPOPな現代アートにも見えますが、なんとこれを描いた伊藤若冲は江戸時代中期、今から大体200年くらい前の画家なのです。

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Original image is here.

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MIHO MUSEUMの販売コーナーにあったポスターを撮影(既に売り切れていました)

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「若冲ワンダーランド」 2009年秋季特別展チラシ裏 – MIHO MUSEUM Original image is here.

 

伊藤若冲が何者かという事については、私が説明するのもはばかれますが、ダイジェストにまとめますと、江戸中期に京都で活躍した画家で、元々は野菜問屋の跡取り旦那でした。ところが、いきなり絵の才覚に目覚め、30代前後の頃、当時主流だった、そして誰もが手本とする、狩野派の門をまず叩きます。しかし、伊藤若冲は、狩野派の技法を踏襲するのではなく、この絵の写真のように、およそ写実とは乖離した、空想そのもののような独創的な絵を描き出すようになります。それが京都の財界・宗教界から大きなバックアップを得ることになり、時代を代表する画家となっていきます。

そんな伊藤若冲の絵が北陸の旧家で2008年8月に新たに発見され、滋賀県にあるMIHOMUSEUMに寄贈されました。今回開かれている「若冲ワンダーランド」展は、その新発見されたとても大きな二枚の図屏風、「象と鯨図屏風」の初お披露目のために開かれた展示会だったのです。

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象と鯨図屏風 江戸時代 寛政7年(1795)H-159.4 W-354(実物見ましたが、かなりどでかいです)MIHO MUSEUM蔵 Origimal image is here.

MIHO MUSEUM解説より抜粋掲載

六曲一双の左右に、勢いよく潮を吹く鯨と、うずくまって鼻を高々とあげた象とを対置させた水墨画。海の王者と陸の王者と
がエールを交換しているような情景は、奇抜さを特色とする若冲の絵の中でも他に例をみない。同様な図柄の屏風が昭和初めのオークションに出たことが知られ
ているが、この方は現在行方がわからない。
 優しい目つきをした、大きな縫いぐるみのような象の体、後ろの崖から伸びた牡丹の花が、優しく背を撫でている。外隈で表された輪郭線のない鼻は、まるで玩具の「吹き戻し」のようだ。一方、黒々とした鯨の胴は雄大で、潮吹きの勢いがすばらしい。波頭の描き方も独特である。

  • キーパーソンに訊く 若冲ブーム
    【特別インタビュー】MIHO MUSEUMで初公開 「象と鯨図屏風」を読み解く

    ※なぜか上記の記事が、2009年12月14日から閲覧不可能になっていました(サイトでは「該当URLの記事は掲載期間が終了しました。」という表示です)。何か契約の縛りでしょうか?他の記事は9月以前のも掲載されていますが・・・実際に「象と鯨図屏風」を鑑定したMIHO MUSEUM館長で東京大学名誉教授の辻惟雄辻氏のインタビューが掲載されており、非常に有益のため、Googleのキャッシュをご覧下さい。

MIHOMUSEUMは私設の美術館としては、その収蔵物の質、量とも、恐らく国内最大といっても過言ではないかと思います。噂ではコレクション形成に数百億円をかけたといわれています。建築物としてもとても素晴らしく、建物の8割近くが地中にあり、自然と共生する、というコンセプトになっています。外国からの見学が引きも切りません。なので、実はここに行く事自体、今回とても楽しみにしていました。

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  • MIHO MUSEUM
    IMPei 設計の美術館。古代エジプト,ギリシャ・ローマ,アジア等世界の優品約200点と日本美術の優品200点を展示
  • MIHO MUSEUM – Wikipedia

Webサイトは見て頂いてのとおり、お世辞にも分かりやすい、丁寧な作りとは言えず、現地を初めて訪れたとき、その魅力の1/10も伝え切れていない、なんともったいない、残念な作りになってしまっているのだろう、とかなり強く思いました。

「象と鯨図屏風」の初公開は勿論、多くの伊藤若冲の作品が生で見られる、と言うことで、私としてはかなりどきどきわくわくな旅になりました。

つづく。

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