社会にしみ出していく悲しみと愛と優しさについて

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つい先日起きたスキーバスの事故で、就職間近に控えた大学生の娘を亡くした父親のコメントを読みました。

この遺族の方はかなり早い段階からマスコミの取材に対応しており、個人的にはつらいどころのお話ではなく、胸を張り裂けられるような気持だと思います。その中にあって、単なる個人的な感情、悲しみや怒りの露呈にとどまることなく、このあまりにも悲しい事故を教訓としてしっかり生かし、我々一人一人が暮らすこの社会が、より安全に楽しく暮らしを営める場所であって欲しいと願う姿勢に、強く胸を打たれました。

これを読んで、私はふと昨年のフランスでテロの事を思い出しました。

妻を失い、小さな子供と二人きりになってしまった男性のコメントが世界中の人の胸を震わせました。

勿論自動車事故とテロとでは、当然その原因や性格は大きく異なる訳ですが、テロで妻を亡くされたこの男性のコメントには、「社会」という視点があまり出てきていません。

しかしスキーバスの遺族の父親の方には、「無くなった娘の死を無駄にしないためにも、この教訓をいかして、よりよい社会の実現に少しでも役だって欲しい」という気持が強く出ています。

勿論どちらが良い悪い、という事では全くありません。

あくまでも個人を基盤とした価値観とする欧州と、どちらかというと、社会という事もある程度意識して価値観をはぐくむ日本との差なのかも知れないなと、ふとそんな事を思いました。

しかし、私もいくら日本人とは言え、もし私が当事者だったら、心が完全に折れている時に、それでもなお気丈に自分だけの事ではなく、周りの人、社会への気遣いも怠らない、そんな事が出来るだろうかと思います。

亡くなった若い皆さんに改めてご冥福をお祈りすると共に、その方の死を無駄にしないためにも、原因究明と対策が進むことを願ってやみません。


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