北海道新聞社に掲載されていたこの記事を見て、本当に一つの時代が終わったのだな、、と思いました。
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- 神内ファーム全株式譲渡 エスフーズに従業員の雇用継続:どうしん電子版(北海道新聞)
【浦臼】空知管内浦臼町の農業生産法人「神内ファーム21」は、食肉製造のエスフーズ(兵庫県西宮市)の村上真之助社長に全株式を譲渡した。譲渡は1日付で、社長にはエスフーズ生産部長の竹内新也氏が就任。約40人の従業員はほぼ全員の雇用が継続され、主力の黒毛や赤毛和牛、マンゴーの生産なども続ける。 神内ファームは消費者金融大手プロミス創業者の神内良一氏が1997年に設立。神内氏が昨年6月に死去してからは、冬採りのマンゴー生産をやめたほか、サービスエリアの直売店撤退など事業の整理を進めていた。神内ファームの全株式は妻の良子氏が保有していたが、取引のあったエスフーズの村上社長への譲渡を決めた。
- 神内ファーム全株式譲渡 エスフーズに従業員の雇用継続:どうしん電子版(北海道新聞)
私は実は数年前、何度か創業者である神内社長(当時)さんにお会いに神内ファーム21まで行ったことがあります。
と言っても、当方何か新聞社やメディアのカンバンをしょって歩いているわけでも無く、何のツテコネもなかったので、ご本人にお手紙を書き、何度か本社に足を運び、どうにか秘書の方とお会いすることが出来ました。
ですが当時神内さんはすでにかなりご高齢となっており、なかなか会話自体が成立しにくい状況になっているとのことで、結局お目通しかなうことは出来ませんでした。お話をするにはちょっと遅すぎてしまった訳です。
なぜ会いにいったかと言いますと、簡単に言いますと、あまりにも非常識な、その立志伝中の人物に、とても強く惹かれたからです。
70歳を過ぎてから、全く異分野である農業に参入し、私財を130億円以上も投入しました。広大な土地を購入し、太陽光発電も導入して電力を自前で調達、サシ入り黒毛和牛信仰120%のこの国で、赤身サシ無しの赤毛和牛を肥育加工販売まで手がけTVCFも流す。かと思えば北の大地で、よりによって冬期に糖度の高いマンゴーや南洋のフルーツを作ったり、何をモチベーションとしてそこまでやるのか、どういう経営哲学なのかを直接聞いてみたい、学びたいと強く思いました。要は勝手におしかけた訳です(良くやりますよね、我ながら、と自分で突っ込んでおきます)。
写真は公式ツイッターより
写真は軽車中泊で北海道巡りより
写真は公式サイトより
神内さんのそのあまりに異色な経歴は、すでにあちこで書かれているので私が詳しく書くまでもないと思いますが、軽くご紹介させていただくと、実は若い頃北海道で農業をやりたく入植したものの、夢破れて郷里に帰った経験があり、そこから紆余曲折を経てプロミスを立ち上げ、東証一部上場まで育て上げます。ですが、不幸にも若い一人息子さんを病で亡くしてしまい、会社を三井住友銀行系列に売却します。売却後、もう古希を過ぎていましたが、ずっとやりたかった農業に、有り余る財を元に再挑戦したのはご本人としてはごく自然な流れだったのかもしれません。以前何かのインタビューでも「稼ぐだけ稼いだ。残しても仕方が無いので、後は全部使い切って鬼籍に入りたい」というような事を語っていました。フォーブスの世界の資産家ベスト50に入った事もあるくらいの人ですし、農業は人生晩年における、使うのにふさわしい夢だったのでしょう。
しかしその経歴や湯水のように投資をしていく姿勢に、農業業界の本流からは「金持ちのおっさんのご乱心」「趣味でやっているだけ」とかなり異端視をされていたと聞きます。まあ端から見ていても無理もないなとは思いますが。。
一昨年お亡くなりになり、その後どうなるのかなと思っていたのですが、記事の通り、エスフードという会社に(「こてっちゃん」作ってるところです)に(投資した額から見ると)二束三文で売却してしまったようです。
北海道の滝川市と美唄市のちょうど中間地点にあるファームは、行くとわかりますがものすごい広大な土地で、お伺いした際、その広さに度肝を抜いた記憶があります。
事業を譲渡されたこてっちゃんの会社であれば、恐らく不採算部門を整理し、収益を生み出すための「常識的な」生産オペレーションを行える事でしょう。すでに昨年から冬獲りマンゴーの生産を打ち切っており、陣内氏の出身地である香川のJ2チーム、カマタマーレ讃岐のトップスポンサーも降りました。
もしかするとその姿は、創業者である神内さんの思い描いたものとは少し違うのかもしれません。
しかし、神内さんがお亡くなりになり、跡継ぎがいない時点で、神内ファームはそうなる運命だったのかもしれません。
昨日、仕事からの帰り、コンビニでたまたま買ったお惣菜はなんと偶然にもこてっちゃんでした。
こてっちゃんを酒の肴につまみながら、ニュースで神内ファームのこてっちゃんへの事業譲渡を知ってちょっと驚きました。
とうとう神内さんと直接お話をお聞きすることはままなりませんでしたが、どんな大きな夢でも、結局夢は個人が動かすものなのかもしれません。かみしめたモツをハイボールで流し込みながら、ふとそんな事を想いました。改めて神内さんのご冥福をお祈りいたします。
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