徳川家康の特集はもう売れない-山岸俊男北大大学院教授のコメントに思う

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先日、日経ビジネスの巻頭に来る(1ページ程度なのですが)連載コーナー「有訓無訓」で、山岸俊男北大大学院文学研究科教授のコメントが出ていました。タイトルは「正直に行動すれば儲かる「商人道」のモラル伝えよ」というものだったのですが、個人的には

「一昔前ならビジネス誌で徳川家康の特集を組めば売れました。なぜならそこには閉ざされた関係の中でうまく生き延びていくためのノウハウがあったから。でも今はもう売れないでしょう。今の日本にはその次のお話が欠けている」

という部分が特に印象に残った部分で、ああまさにそのとおりだなぁ・・・と思いました。


80年代から90年代にかけては、例えば月刊プレジデントとかで、表紙に徳川家康だの山本五十六だの歴史上の人物の劇画タッチのイラストがどーんと載った、その手の特集を結構やっていたような気がします。私が以前おつきあいのあった人材コンサルタントの執務室には「日本開戦紀全20巻」とか、「研究-桶狭間の戦い」とかとにかく時代劇タッチな分厚い本が大量にありました。

そういうのを見て、当時はな垂れ若造なりに、ああ、どうやらビジネスにおいても、歴史から学べることはいろいろとあるらしい、割りとそういう事は一般的な事らしい、とおぼろげながら思った記憶があります。

つまり、昔は誰が敵で、誰が見方なのか、どこを押せばいいのか、あるいは押さなくても済んだ、とてもわかりやすい時代だったのです。

でも、今は違います。ビジネスにおいて、味方も敵も何もかも曖昧で境界線がありません。完全に細胞膜が溶けてしまっています。

例えば雑誌出版社が雑誌を作って販売する。購入するのはユーザーですが、そのユーザー自身がブログをやっていて、例えば「ここはこうだったよ」「あそこはこうだったよ」と速報性の高い、正確な情報をアップしてしまう。となると、相対的に雑誌を買う動機というのはどんどん下がってしまいます。つまり、「お客さま」がお客さまであると同時に「商売敵」でもある、という二面的な存在になってしまっています。

(これを回避するためには、お客さまを自社から見た二面的な存在に位置づけるのではなく、多面的な存在に置き換えてしまう事が重要なのですが、話がそれてしまうので割愛します。また別の機会にでも)。

普段お仕事をさせて頂いている携帯コンテンツビジネスにおいても、全く同じ事が言えますし、そういう点で、上記のコメントは普段「体感」している事そのもので、強く印象に残りました。

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