先日、偶然おもしろい記事をみかけました。最近ユニクロネタが多くて申し訳ありません。独立行政法人経済産業研究所 RIETIが行ったユニクロ柳井社長へのインタビューです。
インタビューは2001年のものですが、古さを感じさせず、特に後半の一般参加者からの質問コーナーは非常に示唆に富んでいるなと思います。インタビュアーだけの記事ですと、提灯っぽくなってしまったり、またはその逆でやけにセンセーショナルに仕立てたりとなりますが、一般参加者は何のしがらみもありませんので(笑)ずばり聞きたいことを聞いたようで、割りと自由なニュアンスを感じました。
いくつか気になった点があるのですが、一つだけピックアップすると、SPA(製造小売)として製造を委託する工場と提携する上での苦労を聞かせてください、という質問に対して、以下のように答えている点です。
我々は工場から買い上げるというよりも、一緒にモノを作ろうとしています。結果としていい工場とつきあっていますが、そこの経営者と話をして、いい商品を作ろうとしているか、経営的にやる気があるのかで判断します。また現場の最高責任者である工場長と話して工場選定します。そうしても7割、8割は失敗に終わります。何度も失敗すればだんだんうまくなります。我々は毎シーズン同じ工場で一緒にモノを作るという感覚であり、バイヤーの感覚ではありません。
実は当社はユニクロとは真逆で、自社で開発リソースを丸抱えしています。つまりシステム開発やデザインに関して、今現在外注先というのがほとんどいません(昔からお願いしている数名の個人はいます)。
ですが、以前はうちもシステムやデザインについて積極的に外注をお願いしていました。その時のスタンスはやはりユニクロと同じように、単に仕事の出し先、業者扱いするのではなく、パートナーとしてより長期的な視野に立って、一緒によい開発をしよう、というスタンスを共有してくれる人が大前提でした。逆にこれが共有出来ないところにはお願いしませんでした。別に偉そうな事を言うつもりは全くありません。技術とかマンパワーとか言う以前に、仕事に対する価値観や考え方が通じていないと、うまく行くこともうまく行かない事が多いように思うのです。
しかしそれでもこのユニクロの柳井社長のお話と同じように、うまく行く可能性は高くありませんでした。当社の場合、確率的にはもっと悪かったと思います。理由はいろいろあったと思うのですが、それで、かなり昔に、しっかり開発の品質を担保するには、絶対に内製化が必要だ、という方針に切り替えました。
今おつきあい頂いている外注の個人は、共にそういうスタンスで、もう5年以上も昔から長期にわたってお取引をさせていただいている方です。普段の業務の中でも、この人は外か中か、という意識は全くありません。そういう人と沢山出会えれば何の問題も無いのですが、体力の問題もあり、やはりなかなかそういう訳にもいきません。
特に小さい会社は一つの開発のミスが命取りになったりするので(弊社も随分貴重なレッスンを今まで得てきました)、内製化によって、いつでも機動的に自社で自分の尻をふける体制にしておいて、お顧客様への責任をしっかり果たせるようにする、今はそういう方針で落ち着いています。
でも、どんな事でもメリットとデメリットがありますし、お客さまの利益を守る事が目的ですから、その限りに置いてはいろんな方法論があり得ます。経営というのは常に激変する環境にフレキシブルに対応しなければ成りません。原則は守りましたが、会社は無くなりました、では意味がありません。必要があればサクっと方針を転換する事もあり得ると思っています(サクっとって何?)
と、自社といろいろと比較しながら、このインタビューを楽しく読ませて頂きました。業種は違いますが、自社だったらどうなんだろう、何が違うのだろう、また違う理由はなんなのか、という事を考えながら読むのは、なかなか楽しいですね。
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