施行日を迎え、徐々に事の重大さが知れ渡ってきているようなのですが、改正貸金業法が今月の18日に施行されます。
これは簡単に書いてしまうと、
「お金を返すことが出来ない人に、必要以上に貸す人がいるから、自己破産とか犠牲者が出ちゃうんだよね。だったら今度から年収の1/3以上はお金を借りられないように規制しよう。そうすれば被害者も出ないし、みんな身の丈にあった暮らしでハッピーになるね」
というような制度です(私の解釈では)。車や住宅、マンション購入の場合は例外規定があります。一見すると、筋が通った、良いことづくめのお話のように聞こえますが、実はその逆で、これによってお金が借りられない人が続出し、それによって生活が破綻する人が大量に出る、またお金を借りられなくなった人が闇金に走るのではないかと言われています。
企業でも個人でも、経済生活が破綻するのは「借金の絶対額」ではありません。それは「キャッシュが尽きた時」です。キャッシュイズキングです。勿論キャッシュを食いつぶすくらいの借入返済があってはどうにもならないのですが、この法律は単純に借金の絶対値だけに注目し、トータルなキャッシュフローついては全く考慮してないのではないかと感じます。
私が12年前この会社を始めたときは(正確には当時は法人ではありませんでしたが)、最初の五ヶ月間位で10万円しか売上がありませんでした。あはは(←笑ってる場合じゃない)。この辺に沿革が乗ってるのでご覧ください。ちなみにこのコーナー、意外と好評らしく、なぜか地味に弊社サイトの中でPVが多いです・・・
当然貯金は瞬く間に使い果たし、月末になると、ジャックスのカードの返済をライフカードから借りて、とか、スーパーに買い物に行くのにもキャッシングしていました。クレジットカードも2枚しか持ってなかったので、前の会社に勤めてるときにもっと作っときゃ良かった・・・と思っても後の祭りです。というような絵に描いたような豊かな暮らしでした。
なので、もし10年前にこの法案が施行されていたら、とにかくお金を借りないと生きていけない訳ですから、高利貸しな闇金のおじちゃんからお金を借りてトンでたか、早々に事業を断念してどこかに再就職していたと思います。つまり、今の当社は無かった訳です。
私が起業した当時はネットバブル夜明け前で、見る目のない間違ったVCが出資させてほしい、などといって押しかけてきたこともありましたが(全部お断りしましたが)、通常起業のアーリーステージにおいて、外部資本を頼りにする事はかなり難しく、必然的に自分、身内親戚からいかに資本をかき集めてくるかが勝負になります。また、当たり前ですが、全ての企業がIPOを目指すわけでもありません。むしろほとんどの場合は非IPOの「スモールビジネス」のはずです。
そういう状況において、借り入れに年収制限という総量規制をかけられてしまうと、国の経済活性化という点においても、極めて大きな足かせになってしまい、ダイナミズムを損ねてしまう危険性が高いのでしょうか?結局のところ、政権与党の大好きな「国民の生活が第一」どころか、国民の生活をじり貧に追い込んでしまう危険性の方が高いと感じます。皆さんはいかがお考えでしょうか?(と、珍しくまじめに締めてみました)
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