その昔、同業者の方とお話をする機会があったのですが、その方が大変興味深い事を言っていました。
「プログラマとかデザイナって、仕事としては非常にクリエイティブですよね。とてもアーティスティックな要素があるじゃないすか。なので、普通の仕事と違って、気が向かない事があるのは当然ですよ。工場で製品作ってるようなやり方では、ろくなものは作れないです。だからそんな時は作業をやめて、ノリが戻ってくるまで、何か息抜きでもした方がいいです」
と言うようなことを言っていたのですが、実はずっとひっかかっていました。
一見すると、何となく正しいような意見のようにも聞こえたのですが、他方どうにも直感的にそれは間違っているんじゃないだろうか、と思った訳です。当時は自分も明確な解を持っていなかったのですが、年をとり、いくつかのささやかな経験を経て今、「それは間違っている」という結論に至りました。
成果をあげる秘訣は、習慣です。同じリズムをきっちり刻むこと。なかなかうまく作れないな、作業として進めないな、ということがあっても、そこで休んだりしないこと。そういう訓練、経験を通じて、常にどんなコンディションであっても、一定の成果を生み出せるようなる体力や持久力がやがてついてきます。結果もついてきます。
もちろんどんな場合でも例外というのはあり、仕事や生活のリズムが常に一定で、きちんと習慣化されていても、能力として誰もが秀でているという訳ではありません。やはり濃淡はあると思います。しかし、「波」に依存するのは危険だという事を最近理解しました。直感は間違ってなかったなと思っています(だいぶ寄り道していますが・・・)
年とともに、「成果を上げる秘訣は習慣だ」というのは次第に確信めいてきました。先日買った「考える人」2010年夏号に、村上春樹のロングインタビューが掲載されているのですが、その中で村上氏は「周りがなんと言おうと、自分のペースを一切崩さず、早寝早起きをして、毎日10キロ走って、一日10枚書き続けた。ばかみたいに。結局それが正しかったんだけど、いまでもそう思いますよ、本当に。周りの言うことなんて聞くもんじゃないです。昔はこういう事を書くとホント真剣に馬鹿にされました」と言うようなことが書かれており、まさに我が意を得たり、との思いでした。ドラッカーの本の中にも「成果を上げるのは才能ではなく、習慣だ」というくだりが出てきます。
私はまだいろんな点で習慣化が弱いところが多々ありますので、今後も精進していきたいと思っています(実は数年前までかなりでたらめな生活リズムだったのですが、それはまた別の機会にでも)。
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