電通問題の本質とは-代理店との思い出

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Web屋の経営

最近電通で若い女性が過労で自殺した事件をきっかけに、長時間労働などの問題が世間を賑わせています。若くして亡くなった方には本当に同情を禁じ得ませんし、深くご冥福をお祈りいたします。

 

僕らの業界は代理店とは比較的関係がある方だと思うのですが、弊社は珍しく(?)代理店との付き合いはほぼゼロで利害関係が全く無いので、思うところを書いてみたいと思います。

 

そもそものお話として、結局のところなぜ長時間ガンガン仕事をしているかというと、単にその人の仕事の効率の問題というだけではなく(実はこれはこれで重要ですが本論から外れるので割愛します)、結局それをさせている人、つまりクライアントが後ろにいるという側面もあると思います。代理店の場合は、特に他業界よりもこれが顕著なように思います。

 

以前、といってももう10年近く前になりますが、クライアント→某代理店→編集プロダクション→うち、という流れでとある商業施設のWebサイト更新の仕事をお引き受けさせて頂いていた事があります。

 

恐らくそれが最初で最後の大きな代理店経由のお取引だったと思うのですが、いざ仕事を始めて見ると、まぁクライアント(若い広報担当の女性)がキム・ジョンウン化していてびっくりした記憶があります。まさに暴君。無理難題の嵐。のっこり重たい修正を金曜の夕方に言ってきて月曜の午後イチまでに仕上げろはザラ。ぼんやりとした要望で走らないとならず、手戻りはじゃんじゃん。とにかく面食らった記憶があります。

 

制作サイドとしては、そこで代理店の営業マンに是非頑張って欲しいのですが、この人がもうとにかく一切の抵抗、泣き落とし、寝技、サボタージュ、説明責任も果たさず、理不尽な修正をスルーで伝書鳩ポッポ宜しく「はい、これだからポッポ」とやる人でした。作り手としての意図、クライアントの要望を踏まえたらこれがいいです、という話、提案はいくら言っても「え、あぁ、はいはいポッポ」と曖昧に言うだけで、一切伝えてくれません。制作プロダクションに言っても「下手なこと言うとロケット砲で処刑されるから」みたいな(注:比喩です 汗)腫れ物に触るような扱いです。

お客さんと直接話をさせて欲しいと言ってもダメ。もっとも話が出来たとしても相手は何しろキム・ジョンウンですからどのみちダメポッポだったかも知れません。とうとううちのデザイナーがブチ切れてしまい「もうやってられないポッポ!」と契約をお断りする事になりました。

 

弊社の場合は、Webサイトがどうのこうのという前に、まずクライアントのビジネスをしっかり理解した上で、要望をお聞かせ頂き、その裏にある真の目的を汲み取った上で、であればWebサイトはこう作った方がいいですよ、という提案を行っています。

 

つまり、顧客とのコミュニケーションがどこまできんと取れるのかが生命線です。これが出来ないとホントもうどうしようもなく、糸の切れたタコのようにふらふらと翻弄され、きりもみダッチロールしてしまいます。別に孫請けひ孫請けひひひひ孫請けでも発注会社の名刺で行っても商流は何でもいいのです。良いWebサイトを創る。そのためには顧客と「直接」話が出来ることが重要です。

つまるところ弊社がこの件でホトホト困ったのは、実は単なる長時間労働がいやだった、のではなく、理不尽かつ無意味な作業を延々と強要される事に我慢がならなかったわけです。そして幸いな事に、弊社は「イヤならやらない」という事をたまたま選べる立場にあった、という事です。人は理不尽な環境に置かれると、自分が思ってる以上に心が折れやすくなるように思います。

このお取引が終わった後、あのクライアントのうら若き女性は、元々キム・ジョンウンだったのか、それとも代理店の営業マンがキム・ジョンウンとして育ててしまったのか、どっちだったのかなと思ったのですが、恐らくどちらも要素としてはあるように感じました。

私が今知っている代理店の担当者は周りに気遣い出来る人ばかりなので、結局担当者次第なのかも知れませんが、電通=ブラックという構図は分かりやすいですが、その背景も含めて考え無いとならないように思います。

そして、こういうニュースばかり流れると、まるで働く事自体が悪のような、仕事とはやりたくない事を生活のために我慢していやいややらされるもの、というニュアンスが社会全体を覆ってしまうのではないかという点も個人的な少々気がかりです。誰もが良い仕事をしたいという気持ちは変わらないはずです。時代によってその方法論は変わっても良いのではないかと思います。

 

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