先日Amazonのご本家(アメリカ)で、オーガニックに特化したどちらかというアッパーミドル向けな食品スーパー、「ホールフーズ(Whole Foods)を買収しました。
いわば世界でもっともイケイケドンドンなネット企業が、わざわざ?オフライン企業を買収したわけですから、このニュースはITのみならず産業界全体で驚きを持って迎えられました。
この記事では、Amazonは単にリアル店舗を買収したかったのではなく(当たり前ですが)、「顧客の購買行動を全面に変えたかった」と解説しています。
我々Web業界で言うと、さしずめ「カスタマーエクスペリエンス、カスタマー・ジャーニーの付加価値化」という事になります。
確かに顧客の行動を変える、というためには、オンラインだけでは成し得られない事があります。その逆もしかりです。
今回のAmazonの買収は、さしずめ日本で言えば、楽天が紀ノ国屋や成城石井を買収するようなものでしょう。
私はこのようなオンラインとオフラインの垣根を越えた買収は、今後もっと起こると見ています。
既にオフラインの業界においてはコンビニとドラッグストア、衣類と家電販売、様々なところで業界の細胞膜が溶け出しています。
双方の業界とも、それぞれの強みを最大化させながら、足りない部分を補完する関係が今後益々様々な業界で加速していくでしょう。
先日、ソシャゲの会社、グリーが海外拠点をたたむ、という記事が出ていました。
- グリー、海外ゲーム開発から撤退 米子会社を清算 :日本経済新聞
グリーは7日、海外でのゲーム開発事業から撤退すると発表した。米国やドイツなど3カ所に拠点を持つ子会社のグリー・インターナショナル・エンターテインメント(米カリフォルニア州)の清算手続きに入ることを決めた。同社の従業員130人は解雇する。グリーはこれまでも海外拠点の見直しや人員削減を進めてきたが、ゲームの開発を国内に集約する。
その昔サイバーエージェントの藤田社長が、海外に出て行くITベンチャーに対して「どうせみんな戻ってくる」と言っていましたが、まさにその「予言」が的中した形です。
歴史をさかのぼると、ジャストシステムが「一太郎」や「ATOK」で国内を席巻していた頃、勢い余って?米国に進出して、日本語で培った言語解析技術を生かして英語でも最高のワードプロセッサーを作る、そして世界征服します、という時代があったのですが、当時創業者でもある浮川社長と対談した大前研一氏が対談後
「安易な海岸進出は絶対にうまくいかない。そもそも無理。むしろ国内にとどまって日本語の技術を磨くべきだ」
と指摘していたのが強い印象に残っていますが、案の定ジャストシステムは大前さんの「予言」通り、その後数年で西海岸の拠点を閉鎖、今、会社の屋台骨は結局日本語入力で圧倒的な定評のあるATOKです。さすが大前さんだなと感服したものです。
グリーの場合、海外進出しないのであれば、では、どのような経営戦略を採るべきだったのでしょう?「任天堂の倒し方、知ってるよ」とクチが滑った管理職がいたという伝説もありますが、確かに当時任天堂は結構な落ち目で、ハードウエア系ゲームはもう終わり、これからはモバイル端末がプラットフォーマーだよね、という時代だったので、そっち系のゲーム会社を買収するという選択肢はあまり無かったかも知れません。では、では何を買収すべきで、何に特化すべきだったのか?経営者のポリシー、審美眼、胆力、経営戦略が問われるように思います。
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