先日、出張先でとあるクライアントと打ち合わせをしました。
そのクライアントには、ソーシャルメディアを活用したサービス会員増加のプラニングと実施をお手伝いしています。
メディアの選定からランディングページの制作、広告クリエイティブ(バナーや広告文章の制作)、効果測定しながらのキーワードのチューニング等、運用までを担当させていただきました。
まあ言ってしまうとメディアレップ(ネット専門の広告代理店)みたいなお仕事です。
実は弊社サイトでは全くそういうサービスをやっているとは書いていません。自社サイトが放置プレイの極みなので、これはこれで現在立て直し中なのですが(汗)、弊社のメインはWebコンサルティングをコアとしたWebシステム開発、Webサイト制作です。その延長線上でソーシャルメディアを活用したサービス会員の獲得のお手伝いも普通に行っています。
それで、それなりに良い結果となり、クライアントにも大変喜ばれたようで、ほっとしました。担当が本当にがんばってくれたと思います。Uさんあんがとね。
来年も継続的にお手伝いをすることになり、これはこれで嬉しかったのですが、次の瞬間、クライアントがなにげにこう一言、言いました、
「もう来年から新聞広告の出稿は全部やめることにするよ」
「え?全部やめるんですか?」
「うん、実は前から考えていたことなんだ。予算の配分を見直すよ。紙は全部やめる。ソーシャルメディアはやっぱりすごいね。今回本当に効果を実感したよ」
おそらく、こういう会話は、昨今メディアレップとクライアントの間ではしばしば見られるのでは無いでしょうか。
確かに客観的にも、新聞の部数は厳しい状況が続いています。例えば(社)日本新聞協会が公開している「新聞の発行部数と世帯数の推移」では、この16年間で2割も発行部数が落ちており、一貫してダウントレンドになっている事が見て取れます。
私はニュースは新聞は地元紙他を数紙とっており、もちろんテレビもソーシャルもキュレーションも見ています。どちらかというと紙で育ってきていますが、ちょうどデジタルが生活に入り出した頃の走りの世代になります。そしてご存じの通り、今ほとんどの若い人は、紙をほとんど見ていません。
その流れから言えば、クライアントの言い分ももっともだと思います。しかし、紙には紙としての良さがあることも事実であり、そこは決して過小評価すべきではないと私は思います。
一般的に広告媒体、という観点からいいますと、紙には紙にしかリーチできない層というのがあり、かつ瞬間最大風速的に、圧倒的に多くの人に、間違いなく、リーチが出来ます。ここがネットとの一番大きな違いです。
例えば福島県いわき市にある「ぐるっと株式会社」は、地域ポータル「ぐるっといわき」を運営しており、日本ではもっとも成功している地域ポータル会社の一つだと言われています。以前ここの社長さんにお話を聞く機会に恵まれました。
このポータルサイトに広告を出すクライアントは、地元のフリーペーパーにも広告を出している企業が少なくありません。なので「ポータルに出して良い結果が出たので、もう紙はやめよう」となった時に「ネットと紙媒体はそれぞれ特徴が異なるので、予算が問題ないのであれば、どちらも継続された方がいいですよ」ということで、続けているクライアントが結構あるそうです。ネットと紙の相乗効果で、広告出稿の目的である集客を最大化するわけです。
私も全く同意見で、打ちたい時に広告が打てる即応性や、属性をターゲティングしてピンポイントで見込み客に届けるネットの優位性は、紙媒体がどんなに逆立ちしてもかないません。
それと同様に、紙媒体の持つ信頼性や、瞬間的に圧倒的なマスな人達に、必ずリーチすることが出来る力は、ネット媒体やソーシャルメディには無い大きな特徴です。
要はお互い持っていないアドバンテージがあるわけですから、要はそれをいかに上手に組み合わせて展開するか、ということではないかと思います。
このクライアントは結論から言いますと、お話をさせていただく中で、紙媒体への出稿をゼロにするはちょっと見直そう、ということになりました。
IT業界の私としては、ネットでのお仕事が増えた方がもちろん個人的には良いわけで、また、特に何か今時点で紙媒体に義理があるわけでもありません。私としてはあくまでメリットがちゃんとあるものは使いましょう、というクライアントファーストの観点でお話をさせていただいたつもりです。
隠し球と文化。くどいですが東スポはとっていません。すいません・・・。
もちろんロングレンジで見れば、デジタルネイティブの世代がどんどん世の中の主流を占めていく中で、というよりすでに占めだしており、紙の立ち居位置が今までとは違い、大分変わっていく、というより変わっているのは、避けられない現実だと思います。紙媒体の持つ大きな特徴である情報の俯瞰性もこんなのが出てくれば「紙」という概念事態が変わってしまうでしょう。ですが、紙を今、過小評価する必要もありません。そして新聞社には新しいビジネスモデルが求められています。その試行錯誤は今後もいろいろと続いていくでしょう。
クライアントの目的を最短で実現する事が弊社のミッションであり、これからも様々なメディア(紙もデジタルも)の良いところを生かして顧客に提案をしていきたいと思っています。
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