なかなか買ったものの、読めなかった本をやっと読むことが出来ました。
- Amazon.co.jp: デービッド・アトキンソン 新・生産性立国論―人口減少で「経済の常識」が根本から変わった eBook: デービッド・アトキンソン: Kindleストア
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デービット・アトキンソンは、私の大好きな作家です。元々は僕はアート好きでその絡みの中で知ったのですが、客観的なファクトに基づくするどい洞察力と意見はいつも大変勉強になります。
- デービッド・アトキンソン – Wikipedia
アナリストを引退して茶道に打ち込む時期を経て[4]、所有する別荘の隣家が日本の国宝や重要文化財などを補修している小西美術工藝社社長の家だった縁で経営に誘われて2009年に同社に入社し、2010年5月に会長就任。2011年4月に社長兼務となって経営の建て直しにあたった[7][2][3][4]。その後は日本の文化財政策・観光政策に関する提言などを積極的に行うようになり、東洋経済新報社の著書『新・観光立国論』で第24回山本七平賞を受賞した[8]。2015年5月より東洋経済ONLINEにて文化財・観光・経済政策に関する題材を中心とした連載を開始[9]。2016年より三田証券株式会社の社外取締役に就任。2017年6月より日本政府観光局の特別顧問に就任[10]。
今回の本でも大変刺激を受けました。素晴らしい内容でした。読まずに死ねないです。一部抜粋要約するとこんな感じです。
日本の労働者の質は世界最高レベルと太鼓判が押されています。しかし、日本の生産性は先進国最低レベルです。これは、日本の経営者が奇跡的に無能であるということを意味しています 7P
日本で生産性が低いのは製造業ではなくサービス業。製造業は国際競争にさらされてているため生産性が上がりやすいが、サービス業はガラパゴス化しているので、生産性が低くなる。P172
現在の日本の生産性は先進国で最下位。「人材の質と生産性のギャップが世界一大きい国」と言っても過言ではありません。これは優秀な人材に、その人がやるべきではない、レベルの低い仕事をさせている事が原因です。 P175
米国の労働者の質は日本と比べものにならないほど低いです。しかし素晴らしい経済成長を長年続けてきてます。これは米国では昔から経営をサイエンスととられており、継続的に経済を成長させる仕組みが出来ているからです 。 P176
日本経済の長期にわたる停滞の理由を、経営者の問題だと私が断言するのは、企業の舵取りをするのが経営者だからに他なりません。価格の決定、設備投資の配分、人材の割り振りなど、生産性の向上にかかわる重要事項を決めるのは経営者以外いないからです。 P178
人口減少時代にもっとも不必要な経営戦略は、高品質・低価格です。 P178
価格を下げるのは、どんな無能でも出来る安直な戦略 P184
たしかに米国に行くとサービスレベルが低く、いらいらさせられる事が少なくありません。労働者の質が、日本と比べて明からに低いと感じますし、データでも裏付けられています。しかし、一方では経営の質に関しては、米国は世界一と言ってもいいかも知れません。米国は労働者の質が悪いのに、かなり高い生産性を生み出せています。これは経営者が有能という事でしょう。 P204
この図表のように、給与の低いところから高いところへ労働者がシフトする現象は、今後ますます進んで、止めたくても止められなくなるでしょう。生産性の低い企業は人を採用する事が出来なくなるので、早晩消える運命にあることは、データからも明らかです。 P210
日本の生産性悪化の一番の原因は中小企業なので、中小企業が生産性を一番向上させなくてはいけません。しかし、それを一番じゃまをしているのが、実は日本政府自体なのです。P214
75年から95年まで、日本では企業数が170万社増えましたが、そのうちの約150万社が従業員10人未満の会社でした。給与水準のもっとも低い企業を中心に増加してきたのです。 P216
95年から2015年まで、生産性の低い従業員10人未満の企業の数がもっとも減ってるのは、一つの安心材料です。 P218
日本の中小企業の経営者ランキンが惨憺たるものです。63カ国中「有能な経営者ランキング」58位、「海外経験のある経営者」63位で最下位、「経営教育の受けたことのある経営者」53位。人口減少の元、政府はこんなレベルの低い経営者を守るべきではありません。 P248
日本の借金問題の本質は、この本で一貫して主張している通りです。生産性の低さからくるGDPの少なさです。 P252
個人的にも耳の痛い内容が多々含まれていますが、よりグローバルに俯瞰した目線で見た時、もっともだなと感じますし、全てファクトで明確に根拠づけられているように思います。
以前もこちらにも書かせて頂きましたが、デービット・アトキンソンさんの著作には、いつも日本に対する深い愛情に満ちています。
読んで全く損はありません。読み応えのある一冊でした。私も正直無能な経営者ですので、頑張ります。
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