新型コロナウイルスに関連した景気刺激策の一環として、7月から実施を予定していた政府の省庁横断型プロジェクト「Go To キャンペーン」が事務局の運営委託費があまりにも巨額だという事で野党やマスコミの批判を受けて、見直しがかかっています。
果たしてその事務局委託費はそんなに「高い」不当なものだったのでしょうか。Web制作の時の見積もりの手法で検証してみました。
朝日新聞デジタルからの引用だと、こんな感じだそうです。
引用元:消費喚起策、委託費3000億円 総額の2割 巨額、国会で批判 補正予算:朝日新聞デジタル
3,095/16,794 なので実際は17.8%です。「約2割」というのは若干表現がアバウトにすぎるように思いますが、金額だけを見ると3,000億円ですので、確かに巨大です。
しかし、その17.8%、本当に高いのでしょうか?
例えば我らがWeb制作の業界でも、あるいはシステム開発の業界でも、規模が大きくなると、「工程管理費用」というのが発生します。建築などの工事現場でも同様でこちらの場合は「現場管理費」と呼ばれています。
「工程管理費」とは一般的に、開発そのものにかかる費用では無く、開発を行う上で、スタッフ同士の連携がうまくいっているかの確認、開発の品質や進捗度合いについて管理する費用の事を指します。
Web制作の業界では、大体10%程度となっています。20%もかかるようだとプロから見て「うん?なんで?」と直感的に思います。公共事業の工事でも同様のようです。
例えば10万、20万のような小さな規模で工程管理費がいるかというとかなり疑問ですが、1,000万、1億となれば逆にかからない方が不思議です。
今回の事務局委託費は17.8%。確かに相場の10%よりはやや高い印象を受けます。しかし、事業予算は1兆6千億円と目玉飛び出るような規模です。
普通は規模が大きくなると、それなりに量産効果というのが働きますから、Web制作費用、工事費の工事本体の費用は単価が下がる傾向にあります。ある意味当たり前ですね。
しかし、工程管理費自体は、真水、つまり直接の「開発費用」に対して常に一定の比率でかかるものなので、10%からあまり大きく動く事はありませんし、そもそも「量産効果」は働きません。
ただし、工事費が1兆2兆と豆腐のような規模になってきますと、工程管理としては前人未踏といってもいいくらい、とんでもなく巨大になってきます。この点で、数千万、数億とは別の次元の管理の困難さがあるので、例え相場の10%より上振れしたとしても、それはそれで納得できる気がします。
それでも「絶対額」だけ見ればあまりにも巨額で、もう少しどうにかならないのかと思うのは当然かと思います。10%ではなく、17.8%になる、その7.8%がどう妥当なのか、という事をきちんと政府は説明する義務があるはずです。
1兆2兆の豆腐規模ですと、そもそもその依頼を引き受ける企業自体が限られているのは事実で、事実上の独占ですので、価格の下方硬直性が高い、下がりにいく傾向はあるでしょう。
しかし、政府の仕事はコストより速度を優先しなければならないこともあるのもまた事実です。だからこそ単に高いと言われたのでじゃあ下げます、やり方変えます、ではなく、きちんと説明責任を果たして欲しいですね。
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